無口な担当医は、彼女だけを離さない。



***

幸せな最期だったでしょうと担当医の先生に言われた。


映画やドラマでよくあるような最期に言葉を残すなんてことはなく、本当に眠るように亡くなった。


ただ寝ているだけのように見えるけど、もうお父さんはいない。


お母さんは事故死だったので顔や体が見えないくらい包帯が巻かれていたから少し実感が湧いたけどお父さんの場合、


傷も何もないのでまだ生きてるんじゃないかって何回も思ってしまった。


お父さんの死から3日。


今は葬儀などが諸々終わりひと段落したところ。


お母さんの葬儀の時…私どうしてたんだっけ。


号泣してたようなぼーっと立ち尽くしていたような。もうあまり記憶がない。


今回のお父さんの葬儀の時は後者の方だった。今世那くんの家に帰ってきてやっと魂が戻ってきた感じ。


実感が湧かなさすぎて頭がふわふわしているのが分かる。


ショックでなのか何なのかは分からないけど、とにかくどっと疲れた。


今は平日の昼。もちろん世那くんは仕事でこの部屋には1人。


昨日から世那くんがすごく私を心配してくれているのは身に染みて感じていた。


私のことだから後とか追いそうだし。そりゃ心配にもなるよね。


lineでも数十分ごとに連絡が来る。


ありがたいけど、今の私は返信までできる気力がないので既読だけつけてベットに倒れこんだ。


そしてなぜだか分からないけど、今初めて涙が出た。


お父さんが亡くなってから今までまだ一度も涙が出なかったのに。


意味の分からないタイミングで涙が出るから少し面白くて笑ってしまう。


でもそのうち笑いよりも涙の方が勝ってきて部屋に私の嗚咽が響く。


正直こんなに辛いならこのまま消えてしまいたいななんて思うけど、それはできない。


すごく辛いことがあって心が沈んだ時も、いつかは晴れると教えてもらったから。