無口な担当医は、彼女だけを離さない。



私のマンションから病院までは歩いて10分ほど。まぁ体感は30分。


やっと着いたけど入口が見えてまた帰りたくなる。


やっぱり帰ろうかな…そう思った時、また柊さんから電話がかかってきてしまった。



「はい…」

「着いた?」

「あ、いや…まだです」

「嘘つくな」

「え?あ」



なんでバレたんだろう…と思い前を向くと近づいてくる柊さんの姿が。



「お前俺が来なかったら帰るつもりだったろ」

「すみません…」



柊さんには何もかもがお見通しみたいで恐怖すら覚える。


柊さんの後ろをとぼとぼと歩く私。



「薬飲んだ?」

「まだ、です」

「ご飯は?」

「いえ…」

「はぁ…ま、いいや。はい入って」