「ほんとはね。少しだけ後悔してたんだ。施設出る最後の日に清水さんのこと無視しちゃったの。あの時もう少し私に余裕があればなって」
「うん」
「って言っても遅いよね。…分かってる。さっきもチャンスだったのかもだけど私また逃げちゃったし」
「…これ、清水さんの番号だとさ」
世那くんが手に握っていたのは番号の書いた紙。急いで渡したのかその紙はノートの切れ端だった。
でも私は受け取れない。今更清水さんと話したところでもう全て過去のことだし。
「栞麗に渡してってさっき。…電話、してみたら」
「いやでも…何話したらいいか分かんないしいいよ」
「過去の後悔はできるだけ消しといた方がいいんだってよ。絶対心残りになるから。って栞麗のお父さんが言ってた」
「心、残り…」
今ここで清水さんに電話をしなければ、私は一生後悔することになるんだろうか。
そう考えた時に、昔お父さんに言われた言葉を思い出す。
『栞麗、自分の気持ちは相手の人に伝えた方がいいぞ。じゃないと人間みんな何考えてるかなんて分かんないんだから』
そうだ、この間もそうだ。
世那くんとのデートの時にも言葉にしなかったから2人して空回ってたんだった。
言葉にしなきゃ伝わらない。そりゃそうだよね。私だって清水さんが今どんな気持ちでいるのかなんて分からない。
同じくもしかしたら清水さんも私が今何を考えているのか知りたいと思っているかもしれない。
