無口な担当医は、彼女だけを離さない。



その瞬間自分の体の中で心がパキン、と音を立てて割れた。


その後も施設長の人が何か話していた気がしたけど何も頭に入ってこない。


ただ分かったのはここに私の味方なんていないこと。それだけだった。


気が付くと小さな部屋から大人達はいなくなり、部屋は空っぽ。


その時にはもう悲しいという感情もなく、呆然と立ち尽くす私の抜け殻だけが残されていた。


あの日は忘れもしない高校1年の1月。


この日から私は死んだように生きている毎日を過ごし、2年と少し経った頃施設から解放された。


施設から出る日、清水さんは何か言いかけたかのように私に話しかけてきたのを思い出す。


私は聞こえなかったふりをしてそのまま清水さんの横を通り過ぎた。


清水さんは私のことを追いかけてはこなかった。


最後くらいこのくらいの意地悪ならしてもいい。そう思ってした。


この時にはもう分かっていた。清水さんは本気で私のことを助けようとしてくれたことくらい。


でも上の大人がそれをもみ消した。それだけのこと。清水さんは何も悪くない。


私だって清水さんの立場なら何も言えない。そのくらい分かっている。


でも私はもう限界だった。そんな清水さんの気持ちも考えることができないくらいにはボロボロになっていたのだ。