「あと…さっきバス停であった人いたじゃん。栞麗がいた施設の人」
「…うん」
「その人も栞麗のこと信じてくれなかった?」
ドクンと心臓が鳴った。
施設の時の話をされるのは苦手だけど、清水さんの話は特に苦手だ。
なぜなら過去に私が唯一信用していた大人だったから。
清水さんはきっと負けたんだ。施設の上の大人たちに。
私が施設の子供から嫌がらせをされた時、病院で体を触られた時、唯一相談したのも清水さんだった。
清水さんは施設の人の中でも若い方で子供達からも人気。私も年も近かったことから清水さんとだけは少し話していた。
しかし施設に入って数か月経つと同い年くらいの女の子からの嫌がらせが始まってしまう。
何の理由で嫌われてしまったのかは分からないけど、とにかくある日から執念な嫌がらせだった。
嫌がらせの定番の悪口はもちろんのこと物の紛失、悪い噂を広める、多少の暴力など。
病院の医者のこともあり流石に心に限界がきた私は施設の人の中で1番話しやすかった清水さんに相談をした。
高校生の嫌がらせにもなると大人の目を盗んでするのは当たり前なので清水さんもその時初めて知ったそう。
清水さんは想像以上に怒ってくれて明日その子達に注意をしてみると言ってくれた。
医者の行動に関しては上の大人に報告して病院を変える方向で動いてみるとも。
安心した。まだ私の味方もいる。
お母さんの死や嫌がらせなどで壊れかけていた心が少し軽くなった気がした。
けれど、私の考えは甘すぎた。
