無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「なんで今…会っちゃうのかな…」



早歩きで入った病院。


入って早々病院独特のあの匂いに息が詰まるけど、今日はここで立ち止まるわけにはいかない。


きっと今お父さんに会っておかないと私はまた後悔することになる。


その思いだけで私は病室まで向かった。


やっと見つけたお父さんの病室。入口にはお父さんの名前だけが書かれている。


私は息を整えて、2回ノックをした。



コンコン



「…はい」



それは確かにお父さんの声で、でもやっぱりどこか苦しそうな。そんな声を聞いて入る前から泣きそうになる。


だめだ私。まだ泣くな。15年振りに再会した娘が泣いてるってお父さんに失礼だよ。


深呼吸をして、私はドアを開けた。



「お父さん、会いに来たよ」

「栞麗…なのか?ほんとに…」

「…ほんとだよ。っていうか、昨日の電話でも同じようなこと言ってた」

「そうだったっけか…」



1人にしては広すぎる部屋に、ベットが1つ。


周りにはたくさんの機械やチューブがあって、それは全てお父さんの体に繋がっていた。



「おとう、さん…会いたかった…」



お父さんの顔を見た時から、もう我慢できないことは分かっていたのに。


でもどうしてもお父さんの前だけでは泣きたくなくて、堪えてた。


そんな私の努力がなかったかのように涙はぼろぼろと溢れていく。