無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「涙拭け。お父さんに会った時そんな顔してたら心配するぞ」

「うんっ…よし。行こ」



あくまで日帰り予定なのでそこまで荷物はない。


いつもの鞄に昨日届いたお父さんからの手紙を入れ、私と世那くんは家を出た。


私の地元、長野県は東京から新幹線で約1時間半。そこから少し電車に乗ると住んでいた時の最寄り駅に着く。



「いやもう新幹線降りてから1時間経ってるけどな」

「久しぶりに来たら全然少しじゃなかった…」

「言うて3年だろ」



3年振りに帰ってきた地元。(まだ着いてないけど)


高校の卒業式が終わった途端施設を出ていった時のことを思い出す。


そういえばあの日も最寄り駅から長野駅までの遠さに驚いたんだった…。



「あ、多分次だと思う」

「そっから病院まではどのくらいなの」

「バスで…20分くらい」

「…そうか」



この電車は私が高校生だった時に毎日乗っていた路線。


だから今世那くんとこの電車に乗っていることがすごく不思議な感じ。


1人で乗っていないからかあの時の嫌な記憶が思い返されることもなく、最寄り駅まで辿り着くことができた。