無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「おはよう栞麗」

「うん…おはよう」

「行くんだよな?お父さんのとこ」



一夜明けて次の日。


ずっと夢見ていた日なはずなのに、今の気分はとても沈んでいた。


会いたいのに会いたくない。そんなよく分からない感情がずっと頭の中にある。


まさかまた家族のいなくなるところに直面してしまうとは思ってもいなかったから。



「帰省みたいなものだよね。だってお父さんめちゃくちゃ地元の病院に入院してるって言うんだもん」



あの後泣いている私の傍にいてくれたのはやっぱり世那くんだった。


お父さんの話も全てして、今日会いに行くことも話してある。



「栞麗、俺も行くわ」

「えっ?何言ってるの世那くん仕事でしょ」

「もう昨日のうちに休みにした。栞麗1人は俺が心配」

「新幹線くらい乗れるよ…」

「馬鹿かそういうことじゃねぇよ分かれ」



どうすんの?と言いながら私のことを覗き込んでくる世那くん。


こっちは泣きそうなのを必死に隠そうとしてるのに…ほんとにずるい人だ。



「うおっ…」

「ありがとう、っすき…」

「知ってる知ってる」



涙が溢れる寸前に私は世那くんの胸に抱き着いた。


「俺とのことも認めてもらわないとだしなー」なんて言いながら世那くんは私の頭を撫でてくれる。