無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「謝ってばっかり。変わってないなぁ…」



私が手紙を読んで最初に出た感想はそれだった。ナーバスな気持ちになるどころか少し笑ってしまう私。


お父さんは本当に気弱な人だった。すぐに謝るしすぐに自分のせいだと思い込む。


頼りなかったけどその分すごく優しい人だった。


この手紙にも私の知っているお父さんが詰まっている感じがしてなんだかすごく嬉しい。



「っていうか私のこと結構知ってたんだ…なんでここに手紙が届いたのかは謎だけど」



そもそもここは私の家じゃなくて世那くんの家。


でも大学には住所変更の手続きしたからもしかしたらそれで分かったのかも。



「あ、そっか。電話…しなきゃなんだよね」



手紙に書かれている番号をスマホに打ち込む。


最後の番号まで打ち終えた私はスマホをそっと右耳に当てた。


1コール、2コール、3コールと鳴ったところで電話は繋がった。


コール音が途絶え、全身に緊張が走る。



「…もしもし、真鍋です」



15年振りに聞いたお父さんの声。


15年間この声を一度も忘れたことはなかった。


きっともう聞くことは出来ないんだと思っていたのに、今電話越しで声が聞けている。