無口な担当医は、彼女だけを離さない。



そーかね、と笑いながら呟く世那くん。


こうして2人で歩くのも久しぶりだ。同じ道なはずなのに1人で歩くよりもずっと早く感じる。


もうすぐ家についちゃう。日和の家世那くん家から近すぎるよ。


家に帰ったら明日まであっという間。ご飯を食べて気が付いたら世那くんは先にお風呂に入っている。


何か会話があるわけではないけど2人で歩く時間が幸せでずっと続けばいいのにななんて思ってしまう。



「そういえばさ」

「んっ?」

「お前宛になんか郵便きてたんだけど…お前親族って今いないよな?」

「うん。…いない、よ」

「聞いたことなかったけど父親は?」



いきなり自分の家族の話になり、言葉に詰まる。


今更世那くんに言いにくいわけじゃない。けど…何となくこの手の話は苦手だ。



「両親は私が6歳の時に離婚してお父さんは出て行った。理由は…知らない。朝起きたら、いなくて」

「…じゃあ今どこかで生きてるってことか?」

「多分。…いきなりどうしたの?」



今度は世那くんが言葉に詰まっている。あまりいい話ではないのは分かっていた。


少し聞くのは怖いけど、世那くんの話なので聞き続けた。



「さっき言った郵便、差出人の名前が真鍋孝之って人からだった」

「…え?」