無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「え⁈日和これもう無理でしょ!」

「無理じゃない10分だったらまだいける!栞麗、走れる?」

「えぇ嘘でしょ…大丈夫だけどさぁ…」

「遅刻したら公開処刑だよ!はい走れるなら急ぐよ!」



なんでこういう日に限ってめちゃくちゃ厳しい教授の授業が1限なのかなぁ…。


ほんとに今日はついてない。あ、靴下も左右違うのだし…。


そんなことを考えながら何とか授業開始2分前に滑り込んだ私達。



「ま…にあった…」

「ごほっ…せ、ふ…」



幸いギリギリに教室に入ったことで、山本くんと目が合う暇もなかった。


席に着いた途端授業も始まったので少し安心。


やっぱりまだどんな顔すればいいのか分からない。


ていうかなかったことにして…なんてずるくない⁈そんなの無理に決まってるし!


気持ちを聞いちゃった時点で今まで通り、なんてそんなのないよ。



「じゃあ次のとこ…斎藤。」

「へっ」




教授と目が合う。…終わった。瞬時にそう感じた私。


余計なことばかり考えていて、教授に指名された問題に答えられずものすっごく怒られたのは言うまでもなかった。