無口な担当医は、彼女だけを離さない。



山本くんとまともに喋ったのは今日が初めてだけどすごく話しやすい。


優しい口調で落ち着くし。ついさっきまで動揺してたのが嘘みたいだ。



「僕の親どっちも医者でさ」

「えっ⁈」

「あっ、ごめんいきなり自分のこと…」

「ううん、大丈夫」



や、山本くんの両親も医者だったのか…。


こんなに医者が身近になるなんて思わなかったな。



「だから…ほんとは医学部に行って医者になって親の病院継ぐのが理想だったし親からも望まれてたんだけどね。だけど俺には無理だった。無理って思って、親に言った。そしたら医者にならないなら縁を切るって言われてさ」

「えっ…」

「ふ、漫画みたいだよね。こんなの現実でもあるんだーって思って」

「そう、だね」