無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「よかった…こんなところでどうしたの?さっきまで高橋さんと一緒だったのに。喧嘩でもしちゃった?」

「ううん…喧嘩はしてない。ちょっと勝手に動揺しちゃった出来事があって」

「そっか。せっかくの学園祭なのに嫌だったね」



確かに最悪な始まり方ではあるけど…どうしてここまでショックだったんだろう。


世那くんが親しげな感じを私に見せつけたわけでもない。優愛さんの方は…分からないけど。


でも世那くんから元カノ、という言葉は聞いていない。


なのになんで涙まで出たんだろう。



「斎藤さん、プラネタリウム見ない?」

「えっ…」

「プラネタリウムっていいよね。心が鎮まる気がして」

「うん…分かる」

「だよね。…行こ?」



山本くんに誘われて私は再び地球科学科の展示スペースに戻ってきた。


戻ってくる時に世那くんや日和に会わないか心配だったけど、幸い会うことはなかった。