無口な担当医は、彼女だけを離さない。



もちろんこれは本当。入院出来るほどの余裕なんてあるわけない。


でも何より病院に何日もいることが一番無理。耐えられない。



「金銭面は正直何とでもなりますよ。今の斎藤さんの状態はこのまま1人で帰せるほど良くはありません」



そんなこと言われたら逃げられない。もう入院するしかないのかな…。



「わかり、ました。」

「じゃ、後で入院の手続きしてもらいますね。あ、その前に聴診してもいいですか」



聴診…嫌な記憶しかない。


柊さんが私の前に座る。思い出したくない。あんな記憶なんか。


それなのにどんどん記憶がよみがえってきて、最後にはあの時の感覚まで思い出してしまった。