無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「はぁっ…あのな、…どうした?」

「はっ、はぁっ…」



明らかに呼吸の仕方がおかしい私。


あぁ…そういえばこの人医者なんだっけ。


ちょっと走っただけなのにな、これで完全にバレちゃったよね。


心臓が馬鹿みたいに早く動いて、苦しい。


でも今日でこの感覚が最後なら、悪くないかも。



「ゆっくり息吸って。背中さするよ」



そう言って私の背中に柊さんの手が触れる。


その瞬間、あの医者にされた記憶が一気によみがえった。




「やだっ!」



私は咄嗟に柊さんの手を振り払っていた。


その反応に驚いた柊さんの顔は見えて、やってしまったと思った。


柊さんは私に触ろうとして触ったわけじゃないのに。



「あ…ごめ、なさ…」



謝ろうとしたその時、ぐらっと視界が揺れて私の意識は途切れた。