無口な担当医は、彼女だけを離さない。



「柊さん、聴診お願いします」

「はいよ、そこ座って」



最初に比べたら大分慣れた聴診。柊さんだったらもう何の問題もない。



「そういえば疾風くん?だっけ、聞かれた?あいつ絶対兄じゃねーだろって」



柊さんの口から疾風くんの名前が出てドキッとする。


タイムリーすぎるよ柊さん…。



「あー…はい。まぁ上手く誤魔化しました」

「へぇ、栞麗でも誤魔化すことできんのな」

「…ばかにしてます?」



よかった。疾風くんのことは深く詮索されなそう。


今詮索されたらなんて答えればいいか分かんないし…。



「はい終わり。安定してるからこの調子…ん?」



さっきから手が勝手に動いて表現って本当にあるんだと言わんばかりの私の右手。


離さなきゃって分かってるのに。柊さんの腕を掴む手が離れない。


だめだ。甘えちゃだめ。私は柊さんにとっては患者なだけなんだから。



「何?なんかあった?」