「でも先輩のその好きな人は…彼氏じゃないんでしょ」
「そうだよ」
「先輩のこと好きになってくれる可能性は?」
「…今のところは、少ない」
「先輩はそんな人のことずっと好きでいるわけ?振り向いてもくれない人追いかけ続けても時間の無駄…」
パシンッ
お店中に響く大きな音。
自分が疾風くんのことを叩いて出てしまったとは思えないほどの音だった。
でも目の前には左頬を抑えている疾風くん。そしてじんじんと痛む私の右手。
「ご…ごめん。ほんとにごめん。…帰るね」
お金だけ机に置き、私はすぐにお店を出た。
最低だ私…少し頭にきたくらいで顔を叩くなんて。暴力なんかするはずじゃなかったのに。
バイト先で気まずくなるのが嫌だから今までバイト恋愛はしてこなかったのにまさか私なんかが告白されるとは…。盲点すぎ。
その日の帰り道はとにかく次に疾風くんに会った時にどう謝ればいいのかだけを考えていた。
