あれから降谷くんは、学校に来なくなった。


連絡をしようとしても、メールアプリは繋がってないし、電話番号さえも知らない。


クラスのみんなも降谷くんがどうして休んでいるのかもわからないみたいだ。


一方、先生は、この前みたいに誰かにプリントを持っていくよう頼むことはなかった。


___どうしたんだろう。


私の中に、少し小さな不安が生まれる。


降谷くんのことだから、学校に行くのが面倒くさいだけ、なのかな。


「よく考えたら私……降谷くんのこと、なんにも知らなかった」


降谷くんのこと、もっと知りたいから、なんて言っておいて、全然降谷くんのこと知れてない。


昼休みの勉強も、ずっと隣で独り言を言っていた降谷くんは今日もいない。


やっぱり1人じゃ、なんにもできないじゃない。


降谷くんと一緒にいる時みたいな、鮮やかな景色が目に入ることもない。


見ようとしても見えない。


ただの冴えない田舎。


そうとしか思えなかった。


『寂しい』


そんな感情が浮かんできたのは、いつからかな。


1ヶ月前まで、ただのクラスメイトだったのに。


それなのに。


私の中で、降谷くんはいつのまにか大きな存在になっていて。


どこかで、学校にいく意味だって思い込んでいたんだ。


それなのに、降谷くんは今日も来ない。


もう、あの景色、見ることはないの……?