その日は、公安も病院での仕事も休みの日だった。こんな日は珍しい。
桜士は部屋の掃除を終えた後、予定をどうするか考える。元々、これといった趣味があるわけでもなく、どこかに行きたいという欲もない。いつも仕事だけを生き甲斐にしていた。
「……とりあえず、本屋にでも行くか」
暇つぶしに何か本でも買いに行こうかと、桜士はマンションを出る。車で二十分のところに最近本屋ができたのだ。
広々とした店内は、平日のためかそれほど人の姿はなかった。ミステリー小説のコーナーを桜士は見ていたのだが、視界の端に見慣れた後ろ姿を見つけると、意識はすぐにそちらに向く。
「四月一日先生じゃないですか、こんにちは」
桜士が声をかけると、一花は少し驚いた様子で振り返るも、すぐにその顔には笑みが浮かぶ。
「本田先生、こんにちは」
休日に偶然好きな人と会える、これほど嬉しいことはない。しかも、普段は一花のそばにはヨハンがいるものの、彼女は一人のようで邪魔者がいないと桜士の頰が緩む。
桜士は部屋の掃除を終えた後、予定をどうするか考える。元々、これといった趣味があるわけでもなく、どこかに行きたいという欲もない。いつも仕事だけを生き甲斐にしていた。
「……とりあえず、本屋にでも行くか」
暇つぶしに何か本でも買いに行こうかと、桜士はマンションを出る。車で二十分のところに最近本屋ができたのだ。
広々とした店内は、平日のためかそれほど人の姿はなかった。ミステリー小説のコーナーを桜士は見ていたのだが、視界の端に見慣れた後ろ姿を見つけると、意識はすぐにそちらに向く。
「四月一日先生じゃないですか、こんにちは」
桜士が声をかけると、一花は少し驚いた様子で振り返るも、すぐにその顔には笑みが浮かぶ。
「本田先生、こんにちは」
休日に偶然好きな人と会える、これほど嬉しいことはない。しかも、普段は一花のそばにはヨハンがいるものの、彼女は一人のようで邪魔者がいないと桜士の頰が緩む。