「はい、お水」

「うん……」

喉が渇いていた私は、一気に飲み干した。急いで飲みすぎたのか、気管に急に水分が纏わりついてくる。

「ケホッケホッ……」

「あー。もう、子供じゃないんだから、ゆっくり飲みなよ」

そう言いながらも、千歳は、ベッドサイドに腰を下ろすと私の背中をトントンと摩った。

「ありがと」

千歳の姿を見て、不思議と心から安心する自分が居る。

「どういたしまして」

見れば、昨日、仕事から帰ってきて、脱いだままにしていたワンピースも、洗って干してあり、とりあえず薬を飲むために、胃に入れたコンビニのおにぎりの包み紙もテーブルからなくなっている。

「千歳、いつ来たの?」

「うんとね、今、18時だから、2時間ほど前かな」

「え!起こしてくれたらいいでしょ……部屋だって散らかってたし」

千歳が、立ち上がると、ソファーに置いていたブランケットを持ってくる。

「別に。僕、彼女居なくて暇だし、片付け好きだから」

ブランケットを私の身体にふわりと巻きつけると、千歳は、そのまま、キッチンのコンロに火をかけた。

途端にいいにおいが漂ってくる。