第一章 傷だらけの悪魔
  
チリリリリン………………チリリリリン………………
ケータイのアラームの音に目が覚める
まだ身体は重い
「んん…………」
気だるげな声を出し、布団の中でに再び入り、毛虫のように体を丸める
チリリリリン………………チリリリン………………
またケータイのアラームが鳴る
「……………………」
二度目のケータイのアラームを止め、ようやく起きた私は重い足を動かして、洗面所へ向かう
あー、今日は起きたくないなー
どうしてこうも人間はいきているだけで金がかかったり、色んなことしたりしなければならないんだろう
顔を洗って少しばかり目が覚めた
パンパン!!と顔を強く叩いたら「ふぅ」と呼吸を吐いた後はカーテンを開ける
そして、着替えたら職場へ向かう
これが私、安達みちかの日課だ
殆どの人は私とあまり変わらない生活だろう
何も変わらない、普通の日常
チリーン…………チリーン…………
りんを鳴らし、目の前の仏壇に合唱すること
仏具が沢山並んでいる
因みに豆知識だが、花立て、香炉、灯明立て
これらは合わせて、仏具の三具足というらしい
「…………行ってきます。」
仏壇に手を合わせること
母の遺影をみること
これが朝の日課だ
玄関を閉めて、自転車で職場へ向かう
自転車で職場に向かっている途中、様々な音が鼓膜を伝って脳に伝達される。
通勤の中、仕事に関する会話、車の音、学校に通う子供たちの話す声
朝から騒がしい平日
平和な日常だ
私は職場に行くことが憂鬱で仕方ない
それはまた追々、話していくとしよう
平日が始まれば、仕事をする、学校にいく
家族サービスのためにどこかに遊びにいく
生活のために働き、時間を搾取される
こんな日常的にのなにが楽しいのやらと考える私であるが、それが人の生活だ
もう少しで職場につきそうだ
今日も今日とて頑張ろう

建物の自転車置き場に自転車を置き、階段を登る
さて、今日も嫌な一日の始まりだ
「……おはようございます」
私の声に反応する人はいない
今日も一番のりだ
…と思ったが
「おはよう!」
 ひょこっと奧の棚から顔を出したのは、女性の先輩である春香先輩だ
「今日も頑張ろうね!」
相変わらず、朝から煩い人である
「今日も張り切っていこう!」
とても煩い
入社したときからずっとこの調子だ
華やかなイメージがあるが、なかなかのインパクトだ
名前のわりには落ち着きがない
私が憂鬱だといったのはこの人のことである
今日もきっと五月蝿いだろう
明日もきっと五月蝿いだろう
どうしてそうも毎日うるさくいれるのだろうか
毎日毎日五月蝿いなこの人
静かに出来ないだろうか
「12時だな、皆、休憩入っていいぞー」
課長のその一言で、やっと休憩かー、お腹すいたーという人、または別の内容を話すもの
色々いる
私も午前中の仕事が終わり、昼休憩に入った
「…ふぅ」
早くご飯食べて、少し寝たいな
今日は寝たい気分だ
でも、昼休憩でなかなか寝られるものじゃないよなー
あー働きたくないなー
生活のためには仕方ないとはいえ、なんか嫌だなー
人間はいつも搾取されなければならないきがする
しょうがないか…
最近、なかなか疲れが取れないんだよな
そのせいかなかなか寝付けない
それに、イライラしやすくなってしまった…
どうしてこうもいらいらしやすいのか
なんとなくはわかるけど…
「…はぁ…」
と、考えていると
「ねぇー、みちかちゃーん、今日の夜空いてるー?」
と、春香先輩が声をかけてきた。
「…今日は、仕事が定時で終わるかわからないので…そもそも、私、合コンとか、苦手だし…」
「大丈夫だよ、普通に話をすればいいから」
私が断ってもなかなか引かない
それが春香先輩だ
本当に名前と性格とのギャップがありすぎる
「えー、仕事とくらいちゃっちゃと終わるでしょー、みちかちゃん」
まだ食い下がらない
何度も断っているのにこの調子である
いい加減、諦めてほしい
私のイライラがおさまらないのは、この人のせいではないかとさえ思ってしまう
いや、多分そうだろう
どうしたものか
「というわけで、今日の夜7時、駅前のイタリアンレストランで合コンだからねー」
…最悪だ…
この先輩に誘われたら、断りづらい
というか、断らせてくれない
あー…どうしよう…
もう嫌だ…
今日の仕事終わったら、止められる前に帰ろう
めんどくさい
「はぁ…」
嫌だなー
人との関わりなんて…
トラウマになりそう
どうにもうまくいかない
どうしたらいいんだろうか
普通に人と関わりたいのになんか上手くいかないのよねー
イライラしてきた…
抑えろ…抑えろ…
深呼吸しろ…
今は仕事中だ
感情を表に出すのは禁物だ
感情をコントロールするんだ
「ふぅー…」
あと少し…もう少し…
抑えろ…抑えろ…
もう少しで定時になる…
「よぉーし、皆、お疲れ様ー、終業時間だから、皆、帰っていいぞ」
ようやく帰ることができる
課長のが合図した瞬間、私は急いで荷物をまとめて帰る準備をする
よし!早く帰ろう!
帰って漫画を見てご飯食べて寝るんだ!
合コンなんて絶対いかない!
絶対いかない!
私がうくに決まってる!
大体、人と関わるのか苦手な私になにを喋ろっていうの!
早く春香先輩に捕まる前に帰らなきゃ…!
「みちかちゃーん、どこいくのー?」
何かが終わる音がした…
…終わった…
どう喋ればいいんだろう
どうしよう…どうしよう…
「ねぇ、君、趣味は?」
「えっ!あ、あ、趣味ですか?!えーと…時代劇を見ること……です……」
『…………………』
なんかしずまっちゃった………
やっちゃった……
「この子ねー、仕事はできるんけどねー、なんか変わってんのよー」
それ、フォローのつもりかよ……
あーあ、なんかやだなー
なかなか思い通りにならないというのは、苦しいものだね