-riko side


1. いつもの朝です。


「おはよ、天野(あまの)さん。」

尊いほどに整った顔でゆるりと微笑んでいる
私のお隣さん、榊 結弦(さかき ゆづる)くん。

「?」

不思議そうな顔で首を傾げる結弦くんも絵になる。
じゃなくて。

「結弦くん、おはよー!
ごめんね、なんか結弦くんの微笑みに
ほっこりしちゃって。」

「そっか、?」

結弦くん、困ってるけど。
何言ってんだこいつって目を向けないあたり、優しい。

1年生の頃はクラスが違くて
話したことなかったけど、
キャーキャー言ってる女の子たちの
歓声(?)を聞く限り人気者みたい。

親友のあおちゃんこと
七瀬 葵(ななせ あおい)ちゃんに
聞いてみたところ、

「結弦くんはこの学校の王子って
とこでしょ。りこはもうちょっと男子に
興味もったら?」

と何故か呆れられた。

なんだか不思議な雰囲気の男の子だなぁ、
って思ったし、ちゃんと興味あるもん。

自分でもわかってるよ?
17歳にもなって初恋もまだですって
みんなに比べたら遅いのかもしれないけど。

「あおちゃんみたいにモテモテじゃなくても
りこだって将来はイケメンの1人や2人、
結婚してみせるもん!」

「いや、結婚は1人でいいからね。
本当に大丈夫かしらこの子、はぁ…」

今日も悩み多き乙女、あおちゃんです。