昼飯を食べ終えた俺は、遥斗と歯ブラシを持って水道へ向かっていた。

「なー、さっきのハンカチどうすんの?」
「あー、持ち主見つかるまで俺が預かるよ」
「よろしく」

そう、ハンカチは俺が預かっている。本当は職員室届けるべきなのかもしれないけど、自分の手で持ち主に返したいと思ったから。

その時、びゅっと激しい風が吹いた。

「うお、はげる笑」
「カツラじゃねーんだから笑」

遥斗が大袈裟に髪を押さえるので笑っていると、すれ違いざま、

「こりゃハンカチも飛んでくわ笑」
「だね…」
という女子二人のやり取りが聞こえてきた。