「あの、想太くん、だよねー…?」

その言葉を、聞いた瞬間。俺の頭の中を、桜吹雪が舞うようにして、記憶の欠片がざあっと舞い始めた。

遠山礼衣。それは、俺の幼馴染の女の子だった。
どうして今まで忘れていたんだろう、でも幼稚園の頃の記憶なんてある方がおかしいか…。そんなことを考えながら突っ立っていた俺に、目の前の女の子は、少し困ったような顔で微笑みかけた。

「ひさしぶり」

…それは間違いなく、礼衣ちゃんー…俺の、初恋の女の子だった。