今年より春知り初むる桜花
散るといふことは習はざらなむ

これは紀貫之の短歌。
春を初めて知ったかのように、今年から花を咲かせ始めた桜に対し、散るということを覚えてほしくない、ずっと咲いていてほしい、と願う歌。

国語の授業で習ったこの短歌を、最近ふっと思い出した。
そして思う、ああ、桜が散ってほしくないと願った気持ちは、今、この恋が終わってほしくないと願う気持ちと似ているのかもしれない。春を初めて知ったかのような桜と、恋を初めて知った私を重ねてしまう。

桜も恋も、散ることを覚えてしまいませんようにー…