星みたいな恋をしよう

(こんな村、早く出て行ってやる……!)

そう幼い頃から思っていた絆だったが、二つだけこの村で育ってよかったと思うことはある。

夕食の片付けをする母の手伝いを済ませた後、絆は小さな自分の部屋からあるものを取り出した。それは、家族旅行で訪れた博物館で貰った星座早見盤だ。

「お母さん、ちょっと星見てくる」

「あんまり遅くならないようにね」

「は〜い!」

縁側から外に出て、絆は夜空を見上げる。果てしなく広がる群青の中に浮かぶ星たちを眺める時間が絆は好きだ。どんなに理不尽なことで勝や親戚に怒鳴られたり、一に馬鹿にされても、美しい星を目にするだけで嫌な気持ちは吹き飛んでしまう。

「綺麗……」

まるで宝石のように煌めく星たちは、ビルが群れる都会でははっきりと見られないだろう。縁側に座り、絆は星座早見盤を見ながら空を見上げていく。

「えっと、さそり座のアンタレスはどこだろう?」

星座早見盤と空を交互に見ながら絆は見たい星を探す。まだ星の名前や位置は覚え始めたばかりのため、探すのに時間がかかる。その時だった。