「呼吸の乱れ、なだめ行動、俺の推理が正しいってことでいいかな?」

なだめ行動とは、嘘をついた際に「嘘がバレてしまうかも」という不安な気持ちを誤魔化すために体の一部に触れることによって安心感を得ようとする行動のことである。男性はネクタイを直したり、時計を触る仕草を、女性は髪を指でとかしたり、ネックレスなどアクセサリーに触る仕草が代表的だ。そして、男女共通にして典型的な仕草は、喉を触るというものである。

「……完敗です」

絆が空を見上げれば、スピカが青白く輝いている。その光は絆を見守っているように優しい。その光を見ていると、絆は光里のことを思い出してしまう。

「光里姉は、あたしの世界を変えてくれた人なんです」

ゆっくりと、絆はオスカルに話し始めた。