「偶然だね。会えるなんて嬉しい!」

そう言ったのは、絆の恋人であるオスカルだった。今日は会う予定はなかったのだが、偶然とは恐ろしい。

「どこかへ行くの?よかったらそこまで送っていくよ?」

オスカルはニコニコと笑いながら言う。絆は目的を言うのが恥ずかしく、「大丈夫です!」と言い走ってその場から逃げ出してしまった。

(下着屋なんて、言い出すの恥ずかしいわ。サイズとか知られちゃうかもしれないし)

そう思いながら絆は下着屋に入ったものの、「えっ?」と声を出してしまいそうになる。下着屋で何と男性と女性が一緒に買い物をしていた。たくさんの色や種類が揃えられた下着を一緒に選んでいる。

「日本人は彼氏と一緒に下着を選ぶ人は少ないかもしれないけど、ヨーロッパや欧米じゃ珍しくない光景なんだよ」

絆が振り返れば、オスカルがニコニコと笑いながら立っている。走って逃げた絆を追って来たのだろう。難事件の犯人を追う彼には難しくないことだ。