* *

「離して…ッ!蓮がまだ中にいるの!!」


あたしの腕を強く掴む一樹の手を解こうとする。

しかし、相手は男。


「雪村、自分がバカだと思わないか!?何で、あんな不良の喧嘩に巻き込まれてんだよ!!もう少し、自分の身体を考えろ!!」


一樹の言葉が、雪村は関係ないのだから。と言っているようだった。


違う…。

一番、関係があるのがあたしなんだ。


「蓮なんか、忘れろよ!!どうせまともに生きていないのだから!!」


……。

一樹とあたしの間に静かな風が吹いた。


…この人、今…何て言った…?


何で?

一樹って蓮の友達じゃないの?

蓮って一樹の友達じゃないの?


どうして…?

どうしてそんな酷い言葉が言えるの…?


「……バカじゃないの!?」


怒りが溢れ、ずっと我慢していた涙も姿を見せる。