ボスみたいなキャバ嬢を連想させる髪型の女がそう吐いた。


弱い…?


「弱いのはあんただろ?蓮に振られたからって、あたしを殴って…。バカだね?」


あたしは立ち上がって、そのまま非常階段へと向かう。


後ろでは、女の叫び声が聞こえる。


このくらいの怪我…なんともない。


身体が麻酔にかけられた様に、どこも感触を感じない。



やっぱり…

あたしは…

蓮がいないとだめだ…。



「……蓮」


無意識に呼んでしまう…。

慌てて口を塞ぎ、軽くビンタを入れる。


だめじゃん…。

蓮の事は忘れるって言ったのに…。



でもこの選択に不満はない。

蓮が、幸せになってくれるのなら…。


それが一番の願いだ。


なのに…。


あたしの心は欲張る。

蓮が欲しくてたまらないこの気持ち…。


本当…、辛い…。