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「あ、出てきた。みいちゃん、早く」
あたしと深波は、蓮が校舎から出たのを確認すると、バレないように後ろをついていく。
今日は、蓮は委員会の仕事とかで、帰る時間が遅かった。
だからあたしは早く帰ったふりをして、蓮を深波と共に待ち伏せをしていた。
「ねえ、蓮が何もなかったら、本当に近付かないんだよね?」
念のため、あたしは再度確認をした。
「当たり前♪でも、如月が女と一緒にいたら……分かってるよね?」
分かってるよね?
その言葉はきっと、俺と付き合え、と言っているのだろう。
でも、それはない。
腰で穿いたズボンに手を突っ込む蓮。
そして明らかに不機嫌な顔。
蓮は委員会の仕事は嫌いだから、きっとそんな顔になっているのだろう。
「すっげえ、不機嫌な顔」
深波は蓮を見ながら、そう言った。
こんな不機嫌な顔しながら、女のところに行く男なんて普通いないだろ…。
これで疑いは晴れたようなもんでしょ。


