言えないまま・・・

直太の表情が幾分和らいでいく。

アキの言葉にも私の言葉にも嘘はない。

ただ、内緒にしてたのは、驚かそうとかそういうんじゃないけど。

「こんな偶然あんまりないから、雑誌が出てから、直太に報告しようと思ってたの。」

「で、何で俺のいない間にアキが家の中にいるんだ?それも仕事の一貫とは言わせないぞ。」

直太は、またアキをにらみつけた。

「編集者に、イラストの相談は、直接ハルさんとするようにって言われててさ。どっかで会ってもよかったんだけど、たまたま俺の彼女がこの近くに住んでて、そこ行くついでに寄ったんだ。」

アキは、直太の冷たい視線をもろともせず、落ち着いた口調で話した。

こんな状態の時、一体どんな気持ちでいたら、そこまで冷静でいられるんだろう。

私じゃ絶対無理だ。

直太は、アキの「彼女」に反応した。

「お前、彼女いるのか?」

「うん、いるよ。もう付き合って1年くらいになるかな。結構真面目に付き合ってるから。」

その言葉に、直太の表情か少しずつ和らいでいく。

彼女と結構真面目に付き合ってるんだ・・・。

裏腹に私の気持ちは小刻みに震えた。

「だからって、俺のいない間に家に上がり込むのはまずいだろう?」

「うん、そうだよね。やっぱり外で会えばよかった。ごめんよ、直太兄。」

素直に謝るアキに、直太は渋々ながら笑みを見せた。

よかった。