不思議と気持ちは晴れ渡っていた。

これでよかった。

アキが言うように。


きっとアキと最後に会ったとしても、自分の気持ちは言えずに別れていたと思う。

アキがそれを許さないはずだから。

私の気持ちは言えなかったけど、アキは全てわかってた。

だから、私の前から去ったんだ。

アキは、私よりずっとずっと大人だった。

アキだったから、幸せな気持ちでお別れができたんだね。

ありがとう。


その30分後、直太が額に汗をにじませて帰ってきた。

よほど慌てたんだろう。

「動くなよー!」

直太は私にそう言うと、旅行バッグに私の荷物を積み込んだ。

なんだか、そんな直太を見つめながら、やっぱり私は幸せなんだって感じずにいられなかった。

これからは、お腹の赤ちゃんのために生きよう。

下腹を優しく撫でながら決心した。