そんなことを頭の中で考えながら楽器を吹いていると、気づけば部活の時間は終わっていた。どうも私は頭の中でネガティブなことを考えすぎちゃうのが癖みたい。
オレンジに染まりつつある空の下を、ひとり自転車を漕いで帰る。今は10月の半ば。だんだん風が冷たくなってきた。
今日は席替えもあったし疲れたな。橋本くんのことだから、明日からも授業のこととか話しかけてくるだろう。今までなら憂鬱に思っていただろうけど、いや、今も少しだけその気持ちは残っているけど、なぜか楽しみって思える。橋本くんが話してみたかった、って言ってくれたおかげかな。こんないつもクラスの隅っこにいるような私を見てくれている人がいたって分かって、正直嬉しかった。誰かの視界に入りたくない、誰の目にも留まらなくていい、って思ってたはずなのに。