「他の女としょっちゅう遊んでたこと白状してきて。それだけだって言われたけど、どうしても信用できなかったから、健吾が寝てる隙に初めてスマホ見た」

乃愛はすごい。あたしは怖くてスマホなんか絶対に見られない。

「女とのメッセージたくさんあってさ。普通の内容じゃないよ? 彼女いること隠してるっぽかったし、女とくっついてるツーショット写真もたくさんあったし。健吾は否定してたけど、あれ絶対浮気」

普通に考えれば、いや、考えるまでもなく傷ついたに決まってる。

自分のことを好きになってくれて、自分も好きになって、毎日幸せだったのに。その間も他の女の子と……って考えたら、すごく辛いと思う。

そういえば乃愛は、初めて付き合った彼氏にも同じようなことをされていたんだ。その時は浮気とまではいかなくても、隠れて他の女の子たちと遊んでいた。

乃愛の気持ちは、ちょっとだけわかる。あたしだって椎名と付き合っていた時、女の子たちと話してる椎名を見てるのはすごく嫌だった。椎名が少しずつ女の子たちに慣れていくのを見て、本当に辛かった。

乃愛は床に目線を落としたまま淡々と話し続けていて、その表情からはいまいち喜怒哀楽が読み取れない。

「……乃愛、大丈夫?」

「うん、意外と大丈夫。もともとナンパしてきたくらいだからチャラいんだろうなーってわかってたし、スマホ見た時も絶対黒だってわかってたし。それにあたしだって健吾と初めて遊んだ時は彼氏いたから、人のこと言えないし。しょうがないよ」

怒った時の乃愛は怖い。

だけど、なんか。怒ってほしいって、初めて思った。