あたしたちが切れたことで乃愛と健吾くんにも少しは気を使わせるかもしれないと思ったけれど、そんなことはなく。

そりゃそうだ。いくら友達同士でも、四人で遊んだりしていたわけじゃないし。

……と思っていたあたしは甘かった。

ふたりが別れたと聞いたのはたった数日後、久しぶりに乃愛があたしの家に泊まりに来ていた時だった。

「は⁉ なんで⁉ あんなにラブラブだったじゃんっ」

「宗司くんが彼女……か知らないけど、チナ以外の女の子とも遊んでるって聞いたあと、健吾のこと問い詰めたの」

「え? なんで?」

「健吾と宗司くんってすごい仲良くて、しょっちゅう一緒にいるんだよ。あたしと遊んだあとに宗司くんの家行ったりもしてたし」

知らなかった。宗司くんと健吾くんが一緒にいるのなんて初めて会った日だけだし。

なにより何度かふたりで遊んでいたとはいえ、特別なにか話した記憶はあまりない。

宗司くんのプライベートなんて知りたいとすら思わなかったから訊いたこともないし。

「だから健吾も他の女と遊んでるんじゃないかとか、もしかしたら浮気してるんじゃないかとかいろいろ考えちゃって、けっこう問い詰めたんだけど」

予想はできた。結果的に別れたってことは、たぶんそういうことなのだと思う。

「真っ黒だった」

……やっぱり、そうだよね。

でも意外だ。乃愛の話を聞いている限り、健吾くんは乃愛にゾッコンで、毎日のように会いたい会いたいと言っていたのも健吾くんのはず。乃愛が話を盛っているとは思えないし。