悠聖の口から出たのは予想外のことだった。信じていたとかそういうことじゃなくて、なにも考えていなかっただけ。

それくらいあたしは宗司くんに関心がなかったのだと改めて気づいた。それを聞いて、なんだ、そんなことかって思ったくらいだ。

「なんで教えてくれたの?」

「さあな。なんでだと思う?」

訊き返してくる悠聖はちょっとずるい。自分はさっき散々質問攻めしてきたくせに、あたしの質問には答えない。

そんなの知らないと答えたあたしにまた笑って、「そのうちわかるんじゃね?」と言った。



その日の夜、久しぶりに宗司くんに連絡をした。

【彼女いるの?】

悠聖の言っていたことが本当だとしても、もちろん傷ついたりはしない。

ただ知らなかったとはいえ、彼女がいる人とずっと遊んでいたわけで(いや、いつからいたのかはわからないけど)彼女に申し訳ないっていう気持ちだけ。

それに対する返信はこなくて、ああ、終わったんだと思った。いや、始まってすらいなかったのだけど。

考えたのは、なんかすっきりしない終わり方だったな、とかその程度。

たとえほんの一瞬でも、ほんの少ーーーしでも好きになれたらいいなと期待していた相手に彼女がいると聞いても連絡を無視されても、なんとも思わなかった。