乃愛と健吾くんは予想以上にうまくいっていて、付き合ってから毎日のように遊んでいた。
健ちゃん健ちゃんと幸せそうにノロケる乃愛を見て、あたしも自然と笑顔になれた。宗司くんとのことを訊かれても、話すようなことがなにもないからそのままそう答えていた。
乃愛がここまで彼氏とずっと一緒にいるのは初めてで、乃愛とばかり遊んでいたあたしは暇でしょうがない。
ちょっとだけ寂しくなった金曜日。そんなあたしと違って遊び歩いているお兄ちゃんは、珍しく家に友達を数人連れて来ていた。
友達が家に来ること自体は珍しくないけれど、いつもなら集合してすぐに遊びに行くから、ずっといることは珍しい。
うるさいなあと心の中で思いながら、部屋でテレビゲームをする。
少し前に流行ったゲームを暇つぶしにやり始めたら、なんだかんだ楽しくて再燃したのだ。
「チナ」
部屋でゲームに熱中していると、突然ノックもなしにドアが開いた。
まだ制服姿の、あたしのお兄ちゃんである春斗が立っている。
「ノックくらいしてよ。なに?」
ゲームから目をそらすことなく言う。
「友達が妹見たいっつってんだけど」
「は? 無理無理。今忙しい」
「全力で暇そうに見えるんだけど」
バカ言ってもらっちゃ困る。今はここ三日間どうしても倒せないボスと戦闘中だ。
最高に忙しいし、とてもじゃないけど手を離せる状況じゃない。
「あれ? 乃愛いねーの?」
乃愛は幼なじみなだけあって、あたしの家族とも仲良しだ。