それからも何度か誘われて遊んだ。宗司くんは思っていたよりはいい人そうだし、正直このまま付き合ってしまおうかとも思った。

もちろん宗司くんを好きになったわけじゃない。椎名に対する気持ちを宗司くんに対して抱ける気がしない。

宗司くんだって、付き合おうとか言ってくるもののあたしのことを好きになってくれたわけじゃないと思う。

だけど、今はそっちのほうが楽だった。

これくらいの気持ちで付き合ったら、ヤキモチを妬いたり不安になったり泣いたりしなくて済む。

もうこんな辛い思いはしたくないし、形だけでも彼氏ができれば、少しは平気になるんじゃないかって、そんなことを考えるようになっていた。

初めての失恋は、自分の中にある今まで知らなかった部分を自覚させてくれたのだった。

すぐに彼氏と別れた乃愛は健吾くんと遊ぶようになって、付き合ったと報告を受けるまで時間はかからなかった。

こういう時、普通はまた四人で遊んだりするんだろうか。あたしと宗司くんは一応友達っていう分類にはなると思うから、四人で遊んでも変じゃない。

でも乃愛はあたしに気を使ってか、誘ってくることはなかった。

なんとなく予想はしていたけれど、日が経つにつれて、あんなに毎日きていた連絡も徐々に減っていった。

誘われて気が向いたら遊ぶし、学校で椎名と早百合ちゃんの姿を見て辛くなったら誘う。

友達と言えるのかもよくわからないような関係性だけど、今のあたしにはそれくらいの距離感が一番楽だった。