この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




早百合ちゃんに呼び出されたのは、十二月に入ってすぐの放課後だった。

「チナちゃん、ちょっと来てくれる?」

前方のドアから控えめに教室を覗いている早百合ちゃんは、決闘でも申し込みに来たのかと思うほど覚悟を決めたような、けれど少しの緊張や迷いも感じ取れる複雑な表情だった。

突然の呼び出しに動揺しているあたしを見透かすように、早百合ちゃんの表情から瞬時に緊張や迷いが消えて、早くも勝ち誇ったように目つきが鋭くなる。

決闘でも申し込みに来たのか、というあたしの予想はあながち外れていなかったらしい。たぶん今日決着をつけようとしている。

別に戦っていたわけじゃなく、一方的に嫌われていただけなのだけど。

「なんで? なんか用?」

教室に入ってあたしの席まで来た早百合ちゃんに、あたしより先に返したのは乃愛だった。

乃愛の目には明らかに苛立ちが含まれている。綺麗な顔をしているから余計に迫力が増す。自分に向けられているわけじゃないのにあたしが怯んでしまうほど。

そんな目を自分に向けられた早百合ちゃんは、すぐに教室を覗いた時の表情に戻った。

「……チナちゃんに言ってるんだけど」

「あたしはあんたに言ってんの。これからチナと遊ぶんだけど。待つの嫌だから話あるならここでして」

あたしと一緒にいる乃愛も、少なからず被害をこうむっていた。

落ち込むあたしに「気にしないほうがいいよ」と言って励ましてくれていたけれど、静かに内心怒りを溜めていたのかもしれない。

根源である早百合ちゃんに対して戦闘態勢万端だった。

「乃愛、大丈夫だから。あたし話してくるよ。ごめんね、ちょっと待ってて」