この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



「チナ、椎名と話してる?」

ステージにマットを敷いて次々と技を繰り出す椎名と友哉たちをぼうっと見ていたら、一緒に来てくれた乃愛が心配そうにあたしの顔を覗きこんだ。

「んー……最近はあんまり」

正確に言えば、今までと変わらない頻度で話してはいると思う。なのにあたしが勝手にヤキモチ妬いて勝手に気まずくなっているから、あまり話していないような気がしてしまう。

アクロバットの練習も女の子たちが見に来るから、なかなか自分から話しかけられなくなっていた。

……前よりずっと、連絡を待つようになった。

こないのが当たり前だったし、最近はそこまで気にしないようになっていたのに、そんな当たり前のことさえも不安を増幅させる材料になる。

「今日話してみなよ。せっかく友哉が気使ってくれたんだしさ」

「……ん。ありがと」

気を使ってくれたのは友哉だけじゃない。乃愛だって本当は彼氏と遊びたかったはずなのに、あたしが勝手に落ち込んでるから一緒に来てくれたのだと思う。

みんなに気を使わせてる。あたしなにやってるんだろ。

「……タイミング見て椎名に話しかけてみる」

「うん。頑張れチナ」

あたしの頭に手を乗せて、よしよしと撫でながら乃愛がにっこりと笑った時。

「あ! 椎名ー!」

あたしたちの後ろにある出入り口からステージに向かって、よく通る高い声がまっすぐに響いた。最近ではすっかり聞き慣れた、椎名を呼ぶ女の子の声。

ちらりと目を向けると、一組の早百合(さゆり)ちゃんとその友達が四人で立っていた。

違うクラスなのにこうして頻繁に練習を見に来るようになって、その度に椎名に話しかけている。