この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



今年も学校祭の準備が始まる。運動神経抜群の友哉と椎名は、仲のいい男の子たちとみんなでアクロバットをすると張り切っていた。

あたしと乃愛は今年もなにもしないから、練習を見に行ったり道具係を手伝ったりする日々。暗くなるまで学校に残っていられるのが楽しくて、毎日みんなで遅くまで遊んでいた。

予想通り、椎名はびっくりするほど急激にモテはじめた。

同じクラスの女の子たちはあたしと椎名が付き合ってることを知っているから遠慮しているのか、もはや興味が薄れたのか今まで通りなのだけど、他のクラスの女の子たちが積極的に椎名に話しかけるようになった。

コミュ力モンスターの友哉が近くにいるわけだから、みんな話しかけやすいのだと思う。

なんとなく、椎名が女の子と話している時はもやもやしてしまう。

あたしも輪に入るなんてできない。変に割り込んだりしたら、「あたしの彼氏です、むやみに近寄らないでください」って言ってるみたいかな、とか考えてしまって。

彼氏だし間違ってはいないのに、それができないのはたぶん、ただ単に自信がないのだと思う。

今まで椎名と話す女の子なんかあたしと乃愛くらいだったのに急に増えたから、椎名が他の子に目を向けちゃうんじゃないかって、不安で不安でしょうがなかった。

せめてもの救いは、人見知りで女の子が苦手な椎名が、話しかけられてもあまり笑顔を見せないこと。それだけ。

〝彼女〟としての自信なんて、あたしには全然なかった。