この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。




その日、あたしは朝から大騒ぎしていた。

「お母さん、浴衣! あたしの浴衣どこ⁉」

「お母さんの部屋のタンスにしまってあるよー」

「出して! 全部! てか着せて!」

はいはい、とお母さんが立ち上がり、寝室からあたしの浴衣を持って来てくれた。

去年買ったばかりの淡いピンク色の浴衣を見て、少し、いやかなりドキドキする。

昨日椎名からメッセージがきたのだ。

【友哉たちと駅前の祭り行くんだけど、来る?】

また「みんなで」かと少しがっかりしたものの、椎名からのお誘いに、あたしはまんまと浮かれていた。

乃愛も誘うと「浴衣着て行こう」とナイスアイディアが返ってきたから、朝からひとりで騒いでいるわけだ。

お母さんに浴衣を着せてもらって、自分で念入りにメイクをしてから乃愛の家へ向かう。

美容師の乃愛ママにヘアセットをしてもらって、大きなコサージュをつけてもらった。まあ浴衣を着た最強の乃愛と同じ髪型っていうのは少し切ないけれど。

待ち合わせの時間ぎりぎりに準備完了して、乃愛と手を繋いで会場へ向かった。