乃愛と春斗がそんなことになってるなんて、全然知らなかった。
他にもきっと、あたしの知らないことがあるんだよね。あたしにはあたしの物語があったように、乃愛には乃愛の物語があったんだよね。
昔みたいに、毎日会って、どんな些細なことでも報告するわけじゃなくなったね。
ちょっと寂しいけど──でもね、乃愛。
あたしは絶対に乃愛の味方だから。これからもたくさんたくさん、乃愛といろんな話をしたいって思ってるから。
いつか話せる時がきたら、またゆっくり聞かせてね。
「チナの運命の人は、明日迎えに行くんだよね?」
「うん。空港まで車で迎えに行く予定」
「チナ、運転大丈夫? 事故んないでよ」
「ちょっとやめてよ。大丈夫だよ。乃愛だってあたしの運転普通なの知ってるでしょ。……悠聖にも同じこと言われたけど」
「冗談だよ。……ねえ、チナ」
中身が氷だけになったグラスを手に取り、カランと音を鳴らす。
「ん?」
「大大大好きだよ。これからもずっと、一番の親友でいてね」