「最初は全然なにも考えてなかったんだけど、なんか、だんだん……なんていうの? ……ほら、あたし今まで、恋愛で失敗ばっかりしてきて、正直もうこりごりだったんだよね。恋愛なんて疲れるだけだって。……でもやっぱり春斗は子どもの頃から知ってるわけだから、あたしのことよくわかってくれてるし、変に気張ったりしなくて済むし、一緒にいたら落ち着くっていうか。ずっと一緒にいるなら、こういう人なんだろうなあって……思うようになってね?」

「……ほう」

「でも相手は春斗だし、今さら一から付き合うっていうのもしっくりこなくて」

「………」

「彼氏っていうか、なんていうか、……家族? がしっくりくるっていうか。それで……け」

「おめでとう‼」

言い切る前に大声を出してしまったあたしに、乃愛がびくっと大きく跳ねた。

乃愛が珍しく遠回しに話していたおかげでさすがのあたしも結論が先読みできてしまい、言い切るまでなんて待てなかったのだ。

話を聞いている途中から、もう胸の奥からいろんな感情と言葉がこみ上げてきて、とても堪えきれなかった。

「よかったー。チナに反対されたらどうしようかと思った」

「するわけないじゃん!」

小さい頃からずっと一緒にいた乃愛。お姉ちゃんみたいな乃愛。

本当にお姉ちゃんになるんだ。

「ありがとう、チナ」

乃愛はさらに顔を真っ赤にしてうつむいた。

こんな乙女モード全開の乃愛を見たのは初めてだ。

とんでもなく可愛いし嬉しいのだけど、この顔をさせているのが春斗だと思うとちょっと複雑でもある。

「でもなんか、乃愛が春斗のこと好きになるって変な感じ」

「そう? あたしの初恋って春斗だよ」

「え⁉」