──運命の人っていると思う?
乃愛がそう言ったあの日から、あたしの中にはいつもその言葉があった。
あたしの運命の人は悠聖だったのかな。悠聖の運命の人はあたしだったのかな。
正直ね、今でもわからないんだ。だってあたしたちの恋は、きっとごくごく平凡だったから。〝運命の恋〟と聞いて思い描くようなものじゃなかったから。
だけどね、もしも、神様がいたとして。
あたしの運命の人は悠聖じゃないと言われても、悠聖の運命の人はあたしじゃないと言われても、そんなのもうどうでもいいや。
あたしは悠聖が運命の人であってほしいと思ってる。ううん、きっとそうだって信じてる。
もしも違ったとしても、あたしはこの恋を運命の恋にしてみせる。
あたしたちの出会いは運命だったって、自信を持って言えるようにしてみせるよ。
昔の恋の続きなんかじゃない。
もう一度、ゼロからふたりで恋をしよう。
新しく芽生えた小さな小さな恋の蕾を、大きな大きな愛の花へと変えていこう。
これから、新しい物語をつくっていこう。
ふたりで、一緒に。