もちろん今までだって、ひとりぼっちだと嘆いたことはなかった。

ずっとみんながそばにいてくれたおかげで、周りの人たちに──あんなに意地悪で苦手だった宗司くんにさえ──助けられてきたおかげで、そんなことを考えたことすらなかったかもしれない。

それほどあたしは、ずっとずっと恵まれていたのだと改めて思う。

それに気づいた時、もう大丈夫だな、と思った。

悠聖が今どこにいるのかはわからない。宗司くんは秋頃に東京で会ったと言っていたものの、もう四ヶ月くらい前のことだから、今もいるのかは定かじゃない。

居場所を知っていたとしても弾丸で会いに行くわけにはいかないから、もちろん事前に連絡をしなければいけない。

そもそも連絡をした時点で、会いに行くことを拒否される可能性はじゅうぶんにある。

もしそうなったとしても、今日みんなに会ったおかげで、こうして思いきり笑ったおかげで、あたしはきっと耐えられると思った。

もちろんしばらくはまた落ち込むだろうけど、今度はきっと、ちゃんと乗り越えられると思えた。

「ねえ、チナ。昔、運命の人がどうとか話したこと覚えてる?」

居酒屋を出て友哉と椎名と別れたあとで、乃愛が言った。

「覚えてるよ。中二の頃だよね」

「うん。あたしね、チナが悠聖くんと付き合ってた時、チナの運命の人は悠聖くんなんだろうなって思ってたの」

「……実はあたしも思ってた」

「今もね、チナの運命の人は悠聖くんであってほしいなって、あたしは思ってるよ」

運命の人は、自然と出会えるのだと思っていた。待っていれば迎えに来てくれるのだと思っていた。