もうごまかしようがなかった。否定する余地もないほどに、瞬く間にそれだけでいっぱいになってしまった。
悠聖と過ごした日々を思い出しただけで、スマホに保存されている写真を見返しただけで、封印していた感情が涙と一緒に溢れ出して止まらなかった。
この四年間、悠聖のことだけを想っていたかといったら、たぶんそうじゃなかったと思う。
けれどいつもあたしの軸にいるのは〝悠聖〟だった。
「だからね、……悠聖に、会いに行こうと思って」
全部全部、宗司くんの言う通りだった。
悠聖がもうあたしのことを、あたしと過ごした日々のことを綺麗さっぱり忘れていたら。運命の人と出会っていたら。結婚して、子供がいたりなんかしたら。
そう考えると怖くて動けなかった。忘れられないのは自分だけだって思い知るのが怖かった。見えないふりをするしかなかった。
怖いから、傷つきたくないから、自分で動けなかったから、いつか悠聖から連絡をくれる日を──迎えに来てくれる日を──夢見て、ただただ待っていた。
「笑うわけないじゃん。……そっか。うん、いいと思う。チナが自分で決めたんだね」
「うん。すごい時間かかっちゃったけど……」
「でも友哉と椎名はともかく、なんであたしに相談しなかったの」
「おい」
「ご、ごめん。今回はちゃんと自分で考えたくて」
昔からなんでも乃愛に相談していたのは、一緒に答えを導き出してもらったり、背中を押したりしてほしかったからだ。
宗司くんに指摘された時はっとした。あたしは周りのみんなが優しいのをいいことに、どっぷり甘えて過ごしていた。