「もう社会人かあ。学生時代なんてあっという間だったね」

あたしは短大、乃愛は美容専門の卒業を目前に控えた二月の終わり。

あたしたちと友哉と椎名の四人で、ちょっと早い卒業祝いという名目で居酒屋に集合していた。

といってもあたしと乃愛はまだ誕生日がきていないからお酒は飲めないのだけど。

「俺らからしたら学生生活二年も延長しただけ羨ましいけど」

「椎名の言う通りだよ。社会は厳しいから覚悟しとけよ」

あたしたちよりひと足先に社会人になって、ひと足先に成人を迎えていた友哉が、何杯目かのビールを片手に顔を赤くして言った。

ちなみに椎名は全然顔色が変わらない。何年経っても椎名らしい。

地元組のあたしたち四人は、高校卒業後もこうして度々会って近況報告をし合っている。

椎名は高二の秋に告白を断ってからも、約束通りこうして友達として仲良くしてくれていた。今となっては、友哉と同じくらい大切で貴重な男友達だ。

乃愛は今でも準くんと付き合っていて、春からは結婚を前提に同棲すると聞いた。友哉も梓と続いている。遠距離恋愛中だけれど、うまくいっているみたいだった。

幸せ真っただ中のふたりに暗い話をするのは若干気が引けるのだけど、陸と別れた経緯を簡単に説明した。

宗司くんに会ったこと、そしてその時に言われたことも、一気に全部話した。

あたしは今日、みんなに話したいことがある。その前置きとして必要な話だったから。

「そっか。……あたしね、チナがちゃんと……ちゃんとって言い方もおかしいけど、付き合ってからしばらく経っても陸くんのこと好きになれないままだったの、なんとなく気づいてた」