この恋が運命じゃなくても、きみじゃなきゃダメだった。



「ち、ちが、」

「チナちゃんさ、みんなに甘やかされてきたかもしんないけど、自分で考えて行動したことある? つーか女の子ってほんとそうだよね。自分の中で答え出てるくせに他人に訊いて、求めてる答えと違ったら怒って。めんどくせえんだよ」

もやは苛立っているように見える、じゃない。間違いなく、確実に、この上なく怒っている。もしかしたらさっきよりも。

「チナちゃんの中でもう答え出てるんじゃないの? 俺が背中押すとでも思ってんの? バカにもほどがある」

「い、いくらなんでもそこまで言うことなくない⁉ ひどくない⁉ あたしに恨みでも──」

「は? どこまでバカなの? 俺たった今振られたばっかりなんだけど。恨みあるに決まってんじゃん。振られた腹いせだよ」

……そりゃそうだ。

宗司くんとは本当になんだかんだ付き合いが長いけれど、こんなに口が悪い宗司くんは初めてだ。高校の屋上で喧嘩した時だってこんな暴言は吐かなかったのに。

……あれ? 振られた腹いせ?

もしかして一週間前もそうだったんだろうか。あたしがいつまで経っても悠聖ばかりだからイライラさせてしまったんだろうか。

なんか自意識過剰っぽいし、今はとても訊けないけど……。

とにかくあたしは、滅多に怒らないだろう宗司くんの逆鱗に二度も触れてしまったのだ。

あたしがもう言い返せないと判断したのか、言いたいことを言い切ったのか、宗司くんは口を閉じてそっぽを向いた。

宗司くんの言う通りだ。あたしはどうしようもなくバカだった。

胸の中に浮かんでしまった答えを、求めていた答えを、自分以外の人の口から聞きたかった。

無音だった車内に、宗司くんの声が響いた。